地盤

出題箇所: 学科III(構造)No.1〜No.4 付近

出題数: 1〜2問程度

近年の出題傾向

  • 地下水位が高い場所の飽和した砂質地盤では、地震の繰り返し振動によって土粒子間の水圧が上昇し、地盤が一時的に「液体状(液状化)」になるメカニズムが頻出です。液状化しやすいのは「細粒分(シルト・粘土)の少ない均一な砂(細砂〜中砂)」が基本です。
  • べた基礎・布基礎・独立基礎といった「基礎の形式」と、それぞれの地盤条件(軟弱地盤・良好地盤)との組み合わせの適否が問われます。特に軟弱地盤ではべた基礎が有利という判断が基本です。
  • 地盤改良工法(サンドドレーン・バイブロフローテーション・薬液注入など)の目的と適用対象の組み合わせも近年の頻出ポイントです。軟弱粘性土向けと液状化対策向けで工法が異なります。視されています。

模擬問題と解説

1. 地盤の許容応力度と標準貫入試験

【問題】地盤の許容応力度及び標準貫入試験(N値)に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 標準貫入試験のN値は、質量63.5kgのハンマーを高さ75cmから自由落下させ、サンプラーを地盤中に30cm打ち込むのに必要な打撃回数で表され、N値が大きいほど地盤は硬く支持力が高い。
  2. 建築基準法に定める地盤の長期許容応力度は、岩盤が最も大きく、次いで固結した砂、土丹盤、密実な砂礫、砂礫の順に大きくなり、粘土や有機質土は最も小さい。
  3. 粘土質地盤では、長期的な圧密沈下が問題となる場合があり、N値が小さく地耐力が低い軟弱な粘土では、建物の荷重によって時間をかけて徐々に圧縮・沈下が進行する。
  4. N値が大きい密実な砂礫地盤は支持力が高いが、地震時には地下水位が高い場合でも砂礫の粒径が大きいため液状化が起きやすく、基礎設計において液状化対策を優先的に検討した。
  5. 盛土や埋め立て地など、人工的に形成された地盤は自然地盤と比較して締め固めが不十分な場合が多く、不同沈下を生じやすいため、地盤調査を十分に行い支持力を確認する必要がある。

 【正解】4

  • 解説:砂礫(れき)地盤は粒径が大きいため、地震による振動が作用しても土粒子間の水が逃げやすく、間隙水圧が上昇しにくいため、液状化は「起きにくい」地盤です。液状化が起きやすいのは、粒径が比較的均一で細粒分の少ない「細砂〜中砂の飽和地盤」です。密実な砂礫地盤は支持力が高く液状化リスクも低い良好な地盤であり、「液状化が起きやすい」とした記述は誤りです
  • ポイント
    液状化しやすい地盤 →「地下水位が高い・細粒分の少ない均一な細砂・中砂」
    液状化しにくい地盤 →「砂礫・粘土質土・岩盤」
    N値が大きい = 地盤が硬い・支持力が高い、が基本

2. 液状化のメカニズムと対策

【問題】地盤の液状化現象及びその対策に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 液状化は、地震時の繰り返しせん断力によって飽和砂地盤の間隙水圧が上昇し、有効応力(土粒子間に作用する力)がゼロに近づくことで地盤が一時的に流動化する現象である。
  2. 液状化が発生すると、地盤の支持力が著しく低下し、建物の不同沈下・傾斜、地下埋設管の浮き上がり、護岸や地盤の側方流動などの被害を生じる場合がある。
  3. 液状化対策工法の一つである「サンドドレーン工法」は、地盤に砂の柱(砂杭)を多数打設し、地震時に上昇した間隙水圧を素早く排水・逃がすことで液状化を防止するとともに、軟弱粘性土地盤の圧密沈下促進にも広く使用される有効な工法である。
  4. 地盤の液状化判定においては、FL値(液状化に対する抵抗率)を算定し、FL値が1.0を下回る層が存在する場合には液状化の可能性があると判断し、必要な対策を検討する。
  5. 液状化対策として地盤を締め固める「バイブロフローテーション工法」は、振動棒(ビブロ)を砂質地盤に貫入させ、振動と水で周囲の砂を密実に締め固めることで液状化抵抗性を高める工法であり、主に砂質地盤に適用される。

【正解】3

  • 解説:サンドドレーン工法は「軟弱粘性土地盤の圧密沈下促進」に使われる工法です。砂の柱を打設することで排水距離を短縮し、圧密(水が絞り出される)を早めるのが本来の目的です。一方で「液状化防止」に直接使う工法ではありません。液状化対策は地盤を「密実にする(締め固める)」ことが基本で、バイブロフローテーションや締め固め工法が該当します。サンドドレーンを液状化対策として「広く有効」と説明している点が誤りです。
  • ポイント
    サンドドレーン・プレローディング →「軟弱粘性土の圧密促進」
    バイブロフローテーション →「砂質地盤の締め固め・液状化対策」
    薬液注入工法 →「砂質地盤の固結・止水」

3. 基礎の形式と地盤条件

【問題】建築物の基礎の形式及び地盤条件に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 「直接基礎(べた基礎)」は、建物底面全体をコンクリートのスラブで覆う形式であり、荷重を広い面積で分散させて地盤へ伝えるため、支持力が低い軟弱地盤に対して有利な基礎形式とされる。
  2. 「杭基礎」は、支持力の低い軟弱な表層地盤を貫通させ、深部の硬い支持層まで杭を到達させて建物を支える形式であり、杭先端が支持層に達する「支持杭」と、主に杭の側面摩擦力で支える「摩擦杭」に分類される。
  3. 「独立基礎(フーチング基礎)」は、柱の直下にそれぞれフーチング(拡大された底板)を設けて荷重を地盤へ伝える形式であり、地盤の支持力が十分に高い場合や、建物規模が比較的小さい場合に適用される。
  4. 木造2階建ての住宅を良質な砂礫地盤に建設する計画において、基礎底面の地盤の長期許容応力度が十分に大きいことを確認したうえで、布基礎よりも施工コストが低く構造的に合理的な「独立基礎」を採用したが、床下の通気・防湿のためにべた基礎に変更した。
  5. 圧密沈下が懸念される軟弱な粘性土地盤では、不同沈下(建物各部で沈下量が異なる現象)が生じると壁の亀裂・建具の開閉不良・躯体の変形等の被害が生じるため、沈下量の検討と適切な基礎形式の選択が重要である。

【正解】 4

  • 解説:木造住宅の基礎について、良質な地盤であれば布基礎や独立基礎の採用は一般的です。しかし「床下の通気・防湿のためにべた基礎に変更した」という理由が不適当です。べた基礎は荷重の分散・軟弱地盤対策として選ぶものであり、「通気・防湿」はそれぞれ「床下換気口」や「防湿シート」などの別の手段で対応します。また、べた基礎の方が独立基礎より施工コストが高い傾向があり、「コストが低い」とした前段の記述とも矛盾が生じています。防湿を理由にベタ基礎へ変更するという誤った判断の記述が不適当です。
  • ポイント
    べた基礎 → 軟弱地盤・荷重分散が主な採用理由(通気・防湿は目的外)
    布基礎 → 木造住宅で一般的。壁下連続して設ける
    独立基礎 → 支持力十分な地盤 + 鉄骨・鉄筋コンクリート造の柱脚に多用
    防湿対策 → 防湿シート・床下換気口・床下換気扇で対応
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