建築設備

出題箇所: 学科II(建築計画)No.15〜No.20 付近

出題数: 3〜5問程度

近年の出題傾向

  • 排水トラップの「封水(ふうすい)」が、排水管内の悪臭や害虫の侵入を防ぐ重要な役割を持つこと、また「自己サイホン現象」や「誘導サイホン現象」によって封水が失われる仕組みと、それを防ぐ「通気管」の役割が頻出です。
  • 機械換気の「第1種・第2種・第3種」の組み合わせ(給気・排気それぞれが機械か自然か)と、各方式が適用される室の用途(トイレ・厨房・手術室等)の組み合わせが超頻出です。
  • 「自動火災報知設備」の感知器の種類(熱感知器・煙感知器)と設置場所の組み合わせ、「スプリンクラー設備」の散水のメカニズムなど、消防・防災設備の基本も近年よく出題されています。

模擬問題と解説

1. 給排水衛生設備

【問題】建築物の給排水衛生設備に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 「水道直結直圧方式」は、水道本管の水圧を利用して直接給水する方式であり、受水槽やポンプを必要としないため、断水時に備えた水の確保という点では他の方式に比べて不利な面がある。
  2. 「高置水槽方式」は、受水槽からポンプで屋上等の高置水槽に水を上げ、その後重力により各所へ給水する方式であり、ポンプ停止時にも高置水槽内の水を一定時間利用できるという利点がある。
  3. 排水トラップに設けられた「封水」は、排水管内の臭気や害虫等が室内に侵入することを防ぐ役割を持ち、封水切れを防止するためには、トラップの封水深をできるだけ浅くすることが有効である。
  4. 排水管に「通気管」を設ける目的の一つは、排水時に生じる排水管内の圧力変動を緩和し、トラップの封水が誘導サイホン作用等によって引き抜かれることを防止することである。
  5. 洗面台や流し台等の器具に設けられる排水トラップにおいて、自己サイホン現象(排水時にトラップ内の水が一緒に流れ出てしまう現象)は、トラップの形状や排水管の接続方法によって発生しやすくなる場合がある。

 【正解】3

  • 解説:封水深と封水切れ防止の関係が誤っています。封水深とは、トラップ内に溜まっている水の深さのことで、この水の壁が臭気や害虫の侵入を防いでいます。封水深を「浅く」すると、わずかな圧力変動や蒸発によっても水が無くなりやすくなり、封水切れ(臭気が逆流する状態)が発生しやすくなります。したがって、封水切れを防止するためには、封水深を「適切な深さ(一般的に深め)」に確保することが必要であり、「浅くすることが有効」という記述は逆であり不適当です。
  • ポイント
    封水(トラップ内の水)→ 臭気・害虫の侵入を防ぐ「水のフタ」
    封水切れ防止 → 封水深を「適切に保つ」(浅くしすぎない)
    通気管 → 圧力変動を緩和し封水切れを防止する
    自己サイホン現象・誘導サイホン現象 → どちらも封水切れの原因

2. 換気方式の組み合わせ

【問題】建築物の機械換気方式に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 「第1種機械換気」は、給気・排気の両方に送風機(ファン)を用いる方式であり、室内の気圧を給気量と排気量のバランスによって正圧・負圧のいずれにも調整できるため、手術室や電気室など、室内環境を厳密に管理したい場所に適している。
  2. 「第2種機械換気」は、排気のみに送風機を用い給気は自然給気とする方式であり、室内が周囲よりも負圧になることで、汚染物質を含む空気が他室へ漏れ出すことを防ぐため、トイレや厨房など臭気・汚染を発生する室に適している。
  3. 「第3種機械換気」は、排気のみに送風機を用い、給気は給気口からの自然給気とする方式であり、室内が周囲より負圧になるため、室内で発生した臭気や汚染物質を他室へ拡散させにくいという特徴がある。
  4. クリーンルームや手術室など、室内を清浄に保ちたい空間では、室内の空気圧を周囲よりも高い状態(正圧)に保つことで、外部からの汚染空気の流入を防ぐ計画とすることが一般的である。
  5. 住宅の浴室や便所等に設ける換気設備において、排気のみを機械で行い給気を自然給気とする方式を採用する場合、給気口の位置や大きさが適切でないと、十分な換気量が確保できないことがある。

【正解】2

  • 解説:第2種機械換気の室内圧力と適用例が誤っています。第2種機械換気は「給気のみに送風機を用い、排気は自然排気とする」方式であり、室内は周囲よりも「正圧」になります。正圧にすることで、外部からの汚染空気や塵埃が室内に入りにくくなるため、クリーンルームや手術室など「清潔さを保ちたい室」に適しています。一方、トイレや厨房のように「臭気や汚染物質を他室に漏らしたくない室」には、室内を「負圧」にする「第3種機械換気」が適しています。記述では第2種と第3種の特徴が入れ替わっており、不適当です。
  • ポイント
    第1種 → 給気・排気とも機械(正圧・負圧を自由に調整可能)
    第2種 → 給気のみ機械 → 室内「正圧」→ クリーンルーム・手術室向き
    第3種 → 排気のみ機械 → 室内「負圧」→ トイレ・厨房・浴室向き
    正圧・負圧と「汚染物質を出す/入れない」の対応関係が頻出能が高い)

3. 消防・防災設備

【問題】建築物の自動火災報知設備及び消火設備に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 自動火災報知設備の感知器のうち「煙感知器」は、火災時に発生する煙の濃度を検知して作動するものであり、煙が拡散しやすい階段やエレベーターの昇降路、廊下等に設置されることが多い。
  2. 自動火災報知設備の感知器のうち「定温式熱感知器」は、周囲の温度上昇率(温度が上がる速さ)を検知して作動するものであり、調理室や厨房など、平常時から温度が高く変化しやすい室には適さない。
  3. 「スプリンクラー設備」は、火災時の熱によって感知部(スプリンクラーヘッド)が作動し、自動的に散水することで初期消火を行う設備であり、火災の拡大を防ぐ効果が期待できる。
  4. 「屋内消火栓設備」は、建物内に設置された消火栓から消火活動を行うための設備であり、火災初期段階において、建物内にいる人が初期消火を行うことを目的の一つとしている。
  5. 非常用の照明装置は、火災や地震等で停電が発生した場合に、避難に必要な床面の照度を確保するために設けられるものであり、廊下や階段等の避難経路となる部分に設置される。

【正解】 2

  • 解説:熱感知器の種類と特性が誤っています。「定温式熱感知器」は、周囲の温度が「あらかじめ定められた一定の温度」に達したときに作動するもので、温度の「上昇率」を検知するのは「差動式熱感知器」です。差動式熱感知器は急激な温度上昇に反応するため、平常時から温度が変化しやすい厨房等では誤作動しやすく適しません。逆に、定温式熱感知器は一定温度を超えたかどうかで判断するため、平常時の温度変化が大きい厨房や調理室、ボイラー室などに適しています。記述は定温式と差動式の特徴が入れ替わっており、不適当です。
  • ポイント
    差動式熱感知器 → 温度の「上昇率」を検知 → 一般の居室向き
    定温式熱感知器 → 「一定温度」に達すると作動 → 厨房・ボイラー室向き
    煙感知器 → 階段・廊下・エレベーター昇降路など煙が拡散しやすい場所
    スプリンクラー → 熱で作動し自動散水・初期消火
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