鉄筋工事②<かぶり厚さ>

出題箇所: 例年、学科IV(施工)の No.7 〜 No.9 付近

出題数:1〜2問程度(鉄筋工事全体の中で必ず数値の正誤判定として含まれる)

  • 室内(仕上あり)と屋外(土に接する部分など)における環境条件の違いによる数値の増減(30mm、40mm、60mmなど)の使い分けが頻出している。
  • スラブ(床版)において、耐久性上有効な仕上げ(モルタルやタイル等)を施す場合にかぶり厚さを減じることができる「仕上げによる緩和(10mm減)」の規定が重視されている。
  • バーインスペクション(配筋検査)時に使用する「スペーサー」の適切な配置間隔や、かぶり厚さが不足した場合の修正方法が狙われやすい。

第1問:かぶり厚さの定義と計測

【問題】鉄筋のかぶり厚さの定義および計測方法に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱における鉄筋のかぶり厚さは、主筋の外表面から、それに対応するコンクリート表面までの最短距離として計測した。
  2. 基礎(布基礎の立ち上がり部分を除く)におけるかぶり厚さは、直接土に接する部分となるため、建築基準法施行令に基づき、最低でも60mm以上確保しなければならない。
  3. 躯体コンクリートの表面に、モルタル塗りやタイル貼りなどの耐久性上有効な仕上げを施す場合、構造耐力上主要な部分(柱や梁)であっても、建築基準法施行令の数値から10mm減ずることができる。
  4. かぶり厚さを適正に確保するため、梁やスラブの底面にはコンクリート製やプラスチック製のスペーサーを適切な間隔で配置した。
  5. 壁において、誘発目地(あらかじめひび割れを集めるための溝)を設ける場合、その溝の底から鉄筋表面までの距離が、その部位に必要な最小かぶり厚さを満たすように計画した。

 【正解】 1

  • 解説:かぶり厚さとは、コンクリート表面から「最も外側にある鉄筋の表面」までの最短距離を指します。柱や梁の場合、主筋のさらに外側には「帯筋(フープ)」や「あばら筋(スターラップ)」が配置されているため、これら外側の鉄筋の表面から計測しなければなりません。主筋から計測するという記述は誤りです。
  • ポイント:「かぶり厚さは最も外側の鉄筋(帯筋等)から測る」という定義のすり替えは、言葉の引っかけとして定番です。

第2問:部位ごとの最小かぶり厚さ(数値管理)

【問題】建築基準法施行令に基づく、構造耐力上主要な部分における鉄筋の最小かぶり厚さに関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 屋内にある耐力壁(仕上なし)の最小かぶり厚さは、30mm以上とした。
  2. 屋内にある柱(仕上なし)の最小かぶり厚さは、30mm以上とした。
  3. 屋内にある床版(スラブ・仕上なし)の最小かぶり厚さは、20mm以上とした。
  4. 屋内にある大梁(仕上なし)の最小かぶり厚さは、30mm以上とした。
  5. 土に接する基礎(底盤部分)の最小かぶり厚さは、40mm以上とした。

【正解】 5

  • 解説:直接土に接する「基礎」の底盤部分における最小かぶり厚さは、建築基準法施行令により60mm以上(JASS 5では構造耐力上主要な部分は70mm以上)と定められています。「40mm以上」とする記述は不足しているため不適当です(なお、40mmは「土に接する柱・梁・壁」の数値です)。
  • ポイント: 法令上の基本数値「床(スラブ)=20mm」「柱・梁・壁(屋内)=30mm」「柱・梁・壁(土に接する)=40mm」「基礎(底盤)=60mm」の4パターンは、語呂合わせなどを用いて完全に暗記しましょう。

第3問:施工管理とスペーサーの配置

【問題】鉄筋のかぶり厚さを確保するための施工管理に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 梁の下端筋用スペーサーとして、コンクリートの打ち込み時に潰れたり位置がずれたりしないよう、十分な強度を持つ鋼製のスペーサー(バー型スペーサー)を採用した。
  2. スラブ(床版)の上端筋(マイナス鉄筋)が、コンクリート打設時の作業員の歩行や重量によって沈み込み、かぶり厚さが過大(有効高さが減少)になるのを防ぐため、踏み付け防止のキャットウォーク(歩行足場)を設けた。
  3. 柱の鉄筋を組み立てるにあたり、帯筋の四隅および中間部に、かぶり厚さを一定に保つための「ドーナツ型プラスチック製スペーサー」を挿入した。
  4. スラブの受入検査において、鉄筋の交差部を結束する焼きなまし鉄線(結束線)の先端が外側(型枠側)を向いていたが、かぶり厚さの計測には影響しないため、そのままコンクリートを打ち込んだ。
  5. 型枠を組み立てる際、誘発目地キズ(溝を形成する部材)を固定する位置の裏側に鉄筋が近接していたため、鉄筋の位置をわずかにシフトさせて最小かぶり厚さを死守した。

【正解】 4

  • 解説:鉄筋を固定する「結束線(焼きなまし鉄線)」の余長部分が型枠側(外側)に向いていると、コンクリートの表面に結束線が露出してしまいます。そこから水分が侵入してサビが発生し、結果としてコンクリートを爆裂させる原因となるため、結束線の先端は必ず内側(鉄筋側)に折り曲げて処理しなければなりません。そのまま打ち込む記述は不適当です。
  • ポイント:スペーサーの種類(床・梁底=ブロック・バー型、柱・壁=ドーナツ型)の使い分けと、結束線の末端処理といった現場特有の不具合対策が問われます。
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