鉄骨工事①<高力ボルト>

出題箇所: 例年、学科IV(施工)の No.13 〜 No.15 付近

出題数:1〜2問程度(鉄骨工事の主要な選択肢として必ず含まれる)

  • 摩擦接合面におけるサビ(赤サビ)の必要性と、ミルスケール(黒皮)や油、塗装の除去といった「肌合わせ」の基準が頻出している。
  • ボルトの締め付け作業における「2段階締め(1次締め → マーク表示 → 本締め)」の手順や、群管理(中央から外側へ向かう締め付け順序)が重視されている。
  • 同一接合部に高力ボルト接合と「溶接」を併用する場合の、施工順序による応力負担のルールが狙われやすい。

第1問:摩擦接合面の処理と肌合わせ

【問題】高力ボルト摩擦接合における接合面の処理および組立に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 高力ボルト摩擦接合面には、所定のすべり係数(0.45以上)を確保するため、黒皮(ミルスケール)をグラインダー等で完全に除去し、適切に管理された赤サビを発生させた。
  2. 接合面に付着していた軽微な油、切粉、泥などの汚れは、すべり耐力を低下させる原因となるため、組み立て前に溶剤等を用いて完全に拭き取った。
  3. 2つの部材を重ね合わせた際、接合部に生じた「肌すき(部材間の隙間)」が0.5mmであったため、特にフィラー(調整板)を挟まずにそのまま締め付けた。
  4. 高力ボルト接合部において、ボルト穴のずれが2mm程度生じたため、ボルトがスムーズに通るよう、リーマを用いて穴を削って広げた。
  5. 高力ボルトの受入検査において、雨水等で濡れてサビや汚れが発生しているボルトが見つかったが、摩擦接合用であるためそのまま現場での締め付けに使用した。

 【正解】 5

  • 解説:摩擦接合面に赤サビは必要ですが、高力ボルト自体にサビやゴミが付着しているものは使用してはなりません。ボルト一式(ボルト・ナット・座金)のネジ山や座金面にサビや変形があると、締め付け時のトルク係数値が変化し、適正な軸力(締め付け力)が得られなくなるためです。このようなボルトは新しいものと交換する必要があります。
  • ポイント:「接合面は赤サビが必要、ボルト自体はサビNG」という対比は、受験生が混乱しやすい定番の引っかけポイントです。

第2問:トルシア形高力ボルトの締め付け手順

【問題】トルシア形高力ボルトの締め付け施工に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 高力ボルトの締め付け作業は、接合部の中央部から外側(端部)に向かって順次行うことを原則とした。
  2. ボルトの締め付けは「2段階」で行うこととし、まず専用のレンチを用いてすべてのボルトに「1次締め」を施した。
  3. 1次締めが完了した後、ボルトの頭部・ナット・座金から部材にわたる直線を白色ペイント等でマーク(共回り確認用の白線)した。
  4. トルシア形高力ボルトの本締めにおいて、専用電動レンチを用いてナットを回転させ、ボルト先端のピンテールが破断(千切れること)したことをもって締め付け完了と判定した。
  5. 本締めを行った際、ピンテールが破断する前に共回り(ボルト本体がナットと一緒に回ってしまう現象)を起こしたボルトがあったが、そのままピンテールが破断するまで強く締め付けた。

【正解】 5

  • 解説:本締め時にボルトが「共回り」を起こした場合、ピンテールが破断したとしても、規定の締め付け軸力(導入軸力)に達していない可能性が極めて高いです。そのため、共回りや軸まわりを起こしたボルトは不合格とし、新しいボルトセットに「交換」しなければなりません。
  • ポイント: トルシア形ボルトの最大の特徴である「ピンテールの破断=本締め完了」という仕組みと、共回り発生時の正しい現場対応(交換)を押さえましょう。

第3問:高力ボルトと溶接の併用・施工管理

【問題】鉄骨の接合部における高力ボルトの施工管理および異種接合に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 同一の接合部において、高力ボルト摩擦接合と「溶接」を併用する計画であったため、先に高力ボルトの本締めを完了させてから、その後に溶接を行った。
  2. 高力ボルトの締め付けにおいて、ボルトのねじ先(ナットの面から突き出る長さ)は、ナットの外側へねじ山が「1〜6山」の範囲に出るものを合格とした。
  3. 高力ボルトは、製品の品質変化を防ぐため、施工直前まで梱包箱を開封せず、雨水や塵埃が付着しない乾燥した場所に保管した。
  4. トルシア形高力ボルトの本締め検査において、すべてのボルトのピンテールが正常に破断していること、および1次締め後に付けたマークの「ズレ」を目視で確認し、共回りがないことを確かめた。
  5. 1次締めのトルク管理において、規定の1次締めトルク値に対して大幅に過大に締め付けられていたボルトがあったが、本締め(ピンテール破断)で調整されるためそのまま本締めを行った。

【正解】 1

  • 解説:1次締めの段階でトルク値が過大(締めすぎ)になっていると、ボルトがすでに塑性変形(伸びきってしまうこと)を起こしている危険性があります。その状態から本締めを行っても、設計通りの正しい摩擦力が発揮されません。規定値を大きく外れて過大に締め付けられたボルトは、新しいものに交換する必要があります。
  • ポイント:溶接との併用時は「ボルトが先(この場合は両方の耐力を合算できる)」というルールや、ねじ高の合格基準(1〜6山)といった、実務的な管理数値が問われます。
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