出題箇所:例年、学科IV(施工)の No.13 〜 No.15 付近
出題数:1〜2問程度(高力ボルト接合と並ぶ鉄骨工事の2大巨頭)
・溶接接合の基本用語(完全溶込み溶接、隅肉溶接、開先など)と、応力を伝えるメカニズムを理解する。
・溶接部に発生する代表的な欠陥の種類と、それらが発生する原因(電流の強さや水分の影響など)を正確に一致させる。
- 溶接の品質を左右する「水分」の排除(降雨・降雪時の作業禁止や、開先面の加熱乾燥)のルールが頻出している。
- 溶接の始端と終端の欠陥を防ぐために取り付ける「エンドタブ」の役割や、溶接後の処理方法(原則として残置する等)が重視されている。
- 超音波探傷試験(UT)などの非破壊検査による「溶接内部の欠陥」の合格基準や、欠陥が発見された場合の修正手順が狙われやすい。「溶接」を併用する場合の、施工順序による応力負担のルールが狙われやすい。
第1問:溶接施工の環境管理と準備
【問題】鉄骨の工場溶接および現場溶接の施工管理に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 現場溶接において、風速が2m/s程度であったため、被覆アーク溶接を行うにあたり特に防風措置(風よけ)を講じずにそのまま作業を行った。
- 溶接接合部の「開先(かいさき)面」に誘発された錆や水分は、溶接欠陥の原因となるため、溶接直前にグラインダー等を用いて完全に取り除いた。
- 気温がマイナス2℃であったため、溶接直前に溶接線から100mm以内の範囲のベースメタル(母材)を加熱して温めてから溶接を開始した。
- 完全溶込み溶接の始端と終端における溶接欠陥(クレータ等)の発生を防ぐため、部材の両端に「エンドタブ(補助板)」を取り付けて溶接を行った。
- 溶接棒などの溶接材料は、大気中の水分を吸収すると溶接部に欠陥(ブローホール等)を発生させやすいため、使用前に規定の温度と時間で乾燥させた。
【正解】 1
- 解説:溶接作業は風の影響を強く受けます。シールドガスを使用しない「被覆アーク溶接」であっても、風速が2m/sを超える場合は、アーク(電気火花)が不安定になり品質が低下するため、防風措置を講じるか作業を中止しなければなりません(なお、ガスシールドアーク溶接の場合は風にさらに弱く、風速1m/s超で防風措置が必要です)。
- ポイント:溶接における風速の制限(被覆アーク:2m/s、ガスシールド:1m/s)や、気温による予熱基準(0℃未満は予熱が必要)の数値は確実に覚えましょう。
第2問:溶接部の欠陥とその原因
【問題】溶接部に発生する欠陥に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 「アンダーカット」とは、溶接電流が強すぎることなどが原因で、溶接の止端部に沿って母材が掘られたように溝となって残る欠陥である。
- 「ブローホール」とは、溶接金属の中にガス(気泡)が閉じ込められてできる球状の空洞であり、主に開先面の水分や溶接棒の乾燥不足によって発生する。
- 「スラグ巻き込み」とは、溶接の途中で発生する非金属のカス(スラグ)が、次の層を溶接する際に除去しきれずに内部に残ってしまう欠陥である。
- 「オーバーラップ」とは、溶接金属が母材の表面に重なり合っているものの、母材と完全に融合(溶着)していない状態の欠陥である。
- 「クレータ」とは、完全溶込み溶接において、裏面の溶接金属が自重によって垂れ下がり、表面がへこんでしまう欠陥である。
【正解】 5
- 解説:「クレータ」とは、溶接の終了間際にアークを急に切ることで、溶接ビード(盛り上がり)の終点が皿状にへこんでしまう現象を指します(裏面の垂れ下がりは「裏落ち」などと呼ばれます)。クレータはひび割れが起きやすいため、エンドタブ上で処理するか、クレータ処理を確実に行う必要があります。
- ポイント: 外観でわかる欠陥(アンダーカット、オーバーラップ)と、内部に生じる欠陥(ブローホール、スラグ巻き込み)の名称・特徴の不一致を突く出題パターンです。
第3問:エンドタブの処理と検査
【問題】溶接完了後の処理および検査に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 完全溶込み溶接に使用した鋼製のエンドタブは、構造上および施工上、特に支障がなかったため、溶接完了後も切り取らずにそのまま残置した。
- エンドタブを切り取る指定があった部材において、ガス切断によってエンドタブを取り除いた後、その切断面をグラインダーで平滑に仕上げた。
- 溶接部の外観検査(目視検査)において、軽微なアンダーカットが発見されたが、溶接全体の強度が確保されていると判断したため、補修を行わずに合格とした。
- 溶接部の内部欠陥を調べる非破壊検査として、現場溶接を行ったすべての完全溶込み溶接部を対象に、超音波探傷試験(UT)を適用した。
- 隅肉(すみにく)溶接の検査において、溶接の厚み(有効のど厚)および足長(脚長)が設計図書の寸法を満たしているかを、溶接ゲージを用いて測定した。
【正解】 3
- 解説:アンダーカットなどの溶接欠陥は、応力が集中して破断の原因(起点)になるため、たとえ軽微であっても放置してはなりません。発見された場合は、適切なサイズの溶接棒を用いて「肉盛溶接」を行い、グラインダーで平滑に補修する必要があります。
- ポイント:エンドタブ(鋼製)は「原則残置(邪魔な時だけ切る)」という実務ルールや、欠陥が見つかった場合の補修方法(アンダーカットは肉盛補修)が問われます。ただし、固形タブ(セラミック製などの非金属製タブ)を使用した場合は、溶接完了後に「必ず」取り外さなければなりません。
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