出題箇所:例年、学科IV(施工)の No.16 〜 No.18 付近
出題数:1問程度(タイル工事や塗装工事と並んで出題される)
・セメントモルタル塗りの基本工程(下塗り → 中塗り → 上塗り)と、各工程で要求されるモルタルの配合(下塗りほど富調合、上塗りほど貧調合)の理由を理解する。
・ひび割れや剥離を防ぐための「乾燥期間(下地や各層の養生日数)」や「1回の塗り厚の限界値」の数値を正確に暗記する。
- コンクリートやRC躯体下地に対する「高圧水洗」や「吸水調整材(プライマー)の塗布」といった、モルタルの付着力を高めるための下地処理ルールが頻出している。
- 外壁モルタル塗りにおける「伸縮調整目地(ひび割れ誘発目地)」の設置間隔(面積や縦横のメートル数)の数値制限が重視されている。
- 各層の塗り重ねの際、モルタル同士の食いつきを良くするために行う「ほうき目(粗面化)」の処置や、施工時の環境制限(5℃未満の寒冷時の施工中止)が狙われやすい。
第1問:外壁モルタル塗りの工程と配合
【問題】コンクリート下地に対する外壁のセメントモルタル塗りに関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- モルタルの付着力を高めるため、コンクリート下地の表面にあるバリやレイタンス(泥状の付着物)を除去し、平坦な部分にはあらかじめ目荒らしを施した。
- コンクリート下地が乾燥しすぎているとモルタルの水分が奪われて硬化不良(ドライアウト)を起こすため、モルタルを塗る直前に下地へ適切な水かけ(散水)を行った。
- モルタル塗りの調合(セメントと砂の比率)において、下地に近い「下塗り」にはセメントの割合が多い【富(とむ)調合】のモルタルを使用し、表面に近い「上塗り」にはセメントの割合が少ない【貧(ひん)調合】のモルタルを使用した。
- 下塗りを施した後、モルタルが乾燥収縮によって生じるひび割れをあらかじめ出し切らせるため、中塗りを始めるまでに「1日(24時間)」の乾燥期間をおいて施工した。
- 上塗りのモルタルを塗るにあたり、下層(中塗り)との食いつきを良くするため、中塗りの硬化前に金ベラやほうき等を用いて表面をあえて粗面(ザラザラな状態)に仕上げた。
【正解】4
- 解説:下塗りをした後、中塗りを施すまでにおくべき乾燥期間(養生期間)は、原則として「14日以上(最短でも7日以上)」と定められています。モルタルは乾燥に伴って必ず収縮しひび割れが発生するため、あらかじめ下塗りの段階でしっかりひび割れを出させ、その上から中塗りで埋める必要があります。「1日」という極端に短い乾燥期間では、後からまとめて大ひび割れが発生して剥離するため不適当です。
- ポイント:左官工事の「乾燥期間」は試験の超大好物です(下塗り後=14日以上、中塗り後=7日以上)。また、配合のルール「下層=富調合(ガッチリ)、上層=貧調合(仕上げの収縮防止)」の逆転引っかけも定番です。
第2問:塗り厚の制限と吸水調整
【問題】壁および床のモルタル塗りにおける施工管理と数値基準に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 外壁のセメントモルタル塗りにおいて、全体の塗り厚(総厚)の標準は、ひび割れ防止と脱落防止のバランスを考慮して「25mm」とした。
- 壁面へのモルタル塗りにおいて、1回に塗り付ける厚みが厚すぎるとモルタル自重でダレたり剥がれたりするため、1回の塗り厚は原則として「6mm以下」とした。
- 床のコンクリート下地にセメントモルタル(直ならし)を塗るにあたり、下地コンクリートの打設後、初期収縮が落ち着くのを待つため、材齢が「14日以上」経過したことを確認して施工した。
- 吸水の激しい軽量気泡コンクリート(ALCパネル)下地にモルタルを塗る際、モルタルの水分が下地に急激に吸い取られるのを防ぐため、下地面に「吸水調整材(シーラー)」を均一に塗布した。
- 冬期の現場において、外気温が2℃となり、夜間には氷点下になる恐れがあったが、モルタルに防凍剤を多めに混入させていたため、特に保温養生を行わずにそのまま壁面の左官施工を行った。
【正解】 4
- 解説:左官工事(モルタルや塗り壁)において、施工中および施工後、気温が5℃未満になる恐れがある場合は、原則として作業を中止するか、完全に暖房・採暖による「保温養生(5℃以上を保持)」を行わなければなりません。モルタル内の水分が凍結すると、強度が著しく低下し、将来的にボロボロと剥がれ落ちる原因になります。防凍剤を過信して養生を怠る記述は不適当です。
- ポイント: どの仕上工事にも共通する「5℃未満はNG」の原則、壁モルタルの総厚「25mm(屋内は20mm)」、1回の限界厚「6mm」という管理数値をしっかり整理しましょう。
第3問:伸縮調整目地とクラック対策
【問題】外壁モルタル塗りにおけるひび割れ(クラック)対策および目地の施工に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 外壁の広大なモルタル壁面において、乾燥収縮によるランダムなひび割れを防ぐため、縦横ともに「3m以内」の間隔で、コンクリート躯体の目地位置に合わせて伸縮調整目地を設置した。
- 伸縮調整目地を設置するにあたり、一面の面積が大きくなりすぎると目地の効果が薄れるため、目地で囲まれた1区画の面積が「15m²以内」となるように計画した。
- 伸縮調整目地に充填するシーリング材において、目地の動き(ムーブメント)に追従させるため、目地底にボンドブレーカー(絶縁テープ)を貼り付けて「2面接着」とした。
- サッシ(窓枠)の周囲や、異種下地(コンクリートと木造など)の境界部分はひび割れが集中しやすいため、モルタルを塗り込む前に、補強用として「耐アルカリ性ガラス繊維ネット」をモルタル内に埋め込んだ。
- 外壁モルタル塗りの伸縮調整目地(目地底)の深さについて、仕上げ面を美しく見せるために、モルタル層の厚みの半分(約10mm程度)の位置で留め、下塗りの層までは到達させないように施工した。
【正解】 5
- 解説:伸縮調整目地は、ひび割れをその目地の位置に「狙って集める(誘発させる)」ためのものです。そのため、目地の底は必ず「下地(躯体表面)」に達する深さまで完全に切通さなければなりません。途中の深さで止めてしまうと、目地以外の想定外の場所にひび割れが分散して発生してしまうため不適当です。
- ポイント:伸縮調整目地の設置基準数値「縦横3m以内」「面積15m²以内」は暗記必須です。また、「目地は下地まで完全に通す(縁を切る)」という構造的ルールを正しく理解しておきましょう。
コメント