出題箇所:例年、学科III(構造)の No.4 〜 No.6 付近
出題数:1〜2問程度(木構造の理論問題として必ず出題される)
・異方性の理解: 木材は「繊維方向(長さ方向)」が最も強く、年輪に直交する「半径方向」や「接線方向」は弱いという、方向による強度差を完全に把握する。
・含水率と強度の関係: 木材が含む水分(結合水)が減るほど、細胞が引き締まって「強度が上がる」という物理現象(繊維飽和点)のメカニズムを暗記する。
- 木材の「めり込み(繊維に直交する方向の圧縮)」に対する強さは、繊維方向の圧縮強さに比べて著しく小さいという特徴が頻出している。
- 荷重がかかり続ける「時間」による強度の違い(長期許容応力度は、短期許容応力度の1/2、または短期は長期の2倍)の数値関係が重視されている。
- 生木(グリーン材)と乾燥材(KD材)、さらには集成材の強度特性や、欠陥(節や割れ)が引張強度・圧縮強度に与える影響の度合いが狙われやすい。
第1問:木材の方向による強度(異方性)と変形
【問題】木材の力学的性質に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木材の各種基準強度(引張、圧縮、曲げ、せん断)の大小関係は、一般に、欠陥のない試験片においては、引張強度が最も大きく、せん断強度が最も小さい。
- 木材の繊維に直交する方向の圧縮許容応力度(めり込みの許容応力度)は、構造設計において、一般に、繊維方向の圧縮許容応力度に比して著しく小さい値とする。
- 木材は異方性を有する材料であるが、部材に生じるせん断応力に対する抵抗力は十分に高いため、梁端部の仕口の設計において、せん断に対する検討は省略することができる。
- 木材の繊維方向の基準強度は樹種によって異なり、建築基準法施行令に基づく指定においては、一般に、米マツのほうがスギよりも高い値が設定されている。
- 木材の割裂(割れ進む現象)は、繊維に直交する方向の引張力が作用した場合に発生しやすく、この方向の強度は木材の各種強度の中で極めて低い部類に入る。
【正解】3
- 解説:木材の繊維方向のせん断強度は、引張強度や圧縮強度に比して著しく小さい(割裂しやすい)という最大の弱点があります。そのため、梁端部の仕口やボルト接合部において、せん断に対する検討を省略することは絶対にできません。
- ポイント:木材の強度順位は 「引張 > 曲げ > 圧縮 > せん断」木材は繊維方向の引張・圧縮には非常に強い反面、「繊維に沿ってズレる力(せん断)」と「繊維を横から潰す力(めり込み)」には著しく弱いため、これらが集中する「接合部(仕口)」では入念な構造計算が必要です。
第2問:含水率の変化と変形特性
【問題】木材の含水率及び変形に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 繊維飽和点以下の領域においては、木材の含水率の低下に伴い、細胞壁が引き締まるため、圧縮強度や曲げ強度などの力学的特性は著しく増大する。
- 繊維飽和点以上の領域においては、含水率が変化しても、木材の各種強度はほぼ一定の値を示し、増大あるいは減少は認められない。
- 木材の力学的性質は温度の影響を受け、一般に、周囲の温度が高くなるほど、各種強度は低下する傾向を示す。
- 木材の乾燥に伴う収縮率は方向によって異なり、一般に、接線方向の収縮率は繊維方向の収縮率に比して著しく大きい。
- 木材の乾燥に伴う強度の増大率は樹種の比重に関係し、一般に、気乾比重の大きい木材ほど、繊維飽和点以下における強度の気乾上昇率は小さくなる。
【正解】5
- 解説:気乾比重の「大きい(密度の高い)」木材ほど、乾燥(含水率の低下)に伴う強度の増大率(気乾上昇率)は大きくなります。中身が詰まっている木材ほど、水分が抜けたときに細胞同士がより強固に結合するためです。
- ポイント:含水率約30%の「繊維飽和点」を境に、それ以下(乾燥)になれば強度は「増大」し、それ以上(生木)であれば水分量が変わっても強度は「一定」のままです。
乾燥による変形(収縮率)の大きさは 「接線方向(年輪に沿う) > 半径方向 > 繊維方向(長さ)」 の順であり、長さ方向(繊維方向)はほとんど縮まないという特性を押さえましょう。
第3問:許容応力度の算定と欠陥の影響
【問題】木構造の設計における許容応力度及び木材の欠陥に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築基準法に基づく木材の許容応力度において、同一の樹種・品質の部材であれば、長期許容応力度の数値は、短期許容応力度の数値の2倍である。
- 木材に存在する「節」や「割れ」などの欠陥は、部材内部に応力集中を引き起こす原因となり、特に引張強度及び曲げ強度に対して著しい低下をもたらす。
- 木材に一定 of 応力を長時間継続して生じさせた場合、時間の経過とともに変形が増大するクリープ現象を起こすため、構造計算において長期的な変形に対する安全性を確認する必要がある。
- 構造用集成材は、製材から欠陥部(大きな節や割れなど)を除去したラミナを積層接着したものであるため、通常の製材(無垢材)に比して品質が均一であり、強度のばらつきが少ない。
- 構造用木材の許容応力度の算出の基礎となる「基準強度」は、建築基準法に基づき、樹種群や材料の等級(品質区分)等に応じてそれぞれ規定されている。
【正解】 1
- 解説:木材は長時間荷重を受け続けると低い力でも破壊してしまう(疲労する)ため、長期の安全性を厳しく見積もる必要があります。したがって、長期許容応力度は、短期許容応力度の0.5倍(2分の1)となります(短期許容応力度は長期の2倍です)。記述は倍率の関係が逆になっているため不適当です。
- ポイント:時間による許容応力度の関係は 「長期 = 短期 × 0.5」 (短期は長期の2倍)。
木材の「節」などの欠陥は、上から押しつぶす「圧縮」のときは隙間が詰まるためあまり強度が落ちませんが、引っ張られる「引張」や「曲げ」のときはそこから一気に引き裂かれる(応力集中)ため、致命的な強度低下を引き起こします。
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