木構造②<継手・仕口>

出題箇所:例年、学科III(構造)の No.5 〜 No.7 付近

出題数:1問程度(木材の性質に関する問題と並んで、または一体となって出題される)

近年の出題傾向

  • 柱の継手を全数同じ高さに揃えてしまうと構造的な弱点が集中するため、あえて同一の高さを避け、位置を「互い違い(千鳥配置)」に分散させて設ける構造計画がよく問われています。
  • 釘やボルトなどの金物による耐力と、伝統的な木組みによる摩擦抵抗力のように、メカニズムや硬さが異なる接合方法の耐力を単純に「加算(足し算)」してはならないとする問題が定番化しています。
  • 施工時に木材が濡れており(含水率が高い)、引き渡した後の乾燥によって木材が収縮するケースでは、釘やビスの引き抜き抵抗力が著しく低下するため、あらかじめ許容耐力を低減(補正)させる実務的な内容が重視されています。

模擬問題と解説

1.継手・仕口の配置と応力特性

【問題】木構造における部材の継手及び仕口に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 2本の木材を同一の直線上に繋いで長さを増すための接合方法を「継手」といい、柱と梁のように2つ以上の部材が互いに直交又は斜交して交わる接合方法を「仕口」という。
  2. 梁や桁などの横架材に設ける継手は、曲げモーメントが最大となるスパン中央部を避け、一般に、曲げモーメントによる応力が小さくなる支持点(柱や下がり壁の付近)の近くに設ける。
  3. 柱の継手は、地震時や風圧時に作用する曲げモーメントや引張力に対して十分な抵抗力を持たせるため、一般に、各階の床面から一定の高さに揃えて全数を配置する。
  4. 継手や仕口の加工による木材の「断面欠損」は、部材の許容耐力を低下させる原因となるため、構造計算においては、欠損部分を除いた有効断面によって応力度の検討を行う必要がある。
  5. 横架材の仕口において、梁が柱から抜け出すのを防止するため、伝統的な仕口形状(蟻掛けなど)による噛み合わせに加えて、羽子板金物等の補強金物を併用して緊結する。

 【正解】3

  • 解説:柱の継手を各階で同じ高さに一斉に揃えて設けてしまうと、その高さの階全体が構造的な弱点(脆弱面)となり、地震などの水平力がかかった際に建物がそこから折れる原因となります。そのため、柱の継手は同じ高さに集中させず、「互い違い(千鳥配置)」に分散させて設けるのが正しい構造計画です。
  • ポイント:継手・仕口の配置は 「応力の小さい場所に設ける(梁の継手は中央を避ける)」「同じ場所に集中させない(柱の継手は千鳥にする)」 のが鉄則です。
    構造計算の際は、加工によって削られた部分を引いた 「有効断面(有効断面積)」 で計算しなければなりません。

2.接合部の力学的挙動と金物補強

【問題】木造建築物の接合部における力学的挙動及び金物による補強に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ボルトを用いた木材の接合部において、木材の繊維方向と平行な引張力が作用した場合、ボルトが木材を縦に引き裂くような「割裂破壊(せん断破壊)」を発生させることがある。
  2. 木材の繊維に直交する方向からボルトやピンなどの接合具を打ち込んで荷重を伝える接合部では、繊維方向の圧縮に比べて「めり込み」による変形が大きく現れやすい。
  3. 柱脚(柱の底部)や柱頭に生じる大きな引き抜き力(引張力)に抵抗するため、構造計算によって算出された必要耐力に基づき、ホールダウン金物(高耐力伝達金物)を適切に選定・配置した。
  4. ボルト結合部における木材の割裂破壊を防止するためには、ボルト自体の径を太くするだけでなく、ボルトのピッチ(間隔)及びボルトから木材端部までの「縁空き距離」を十分に確保することが有効である。
  5. 木材同士を釘やボルトで接合する場合、接合具自体の持つ許容耐力と、接合部における木材の木組み(仕口の噛み合わせ)による摩擦抵抗力は、それぞれの耐力を単純に「加算(足し算)」して全体の許容耐力として差し支えない。

【正解】3

  • 解説:特性や硬さ、変形の仕方が異なる2つの抵抗要素(例えば、カチッと効く「釘・ボルト」と、じわじわ効く「木組みの摩擦力」)を併用する場合、それぞれの耐力を単純に足し算(加算)して設計してはいけません。先に硬い方の接合具(釘やボルト)に応力が集中して破壊してしまうため、「どちらか一方の主要な耐力のみを有効とする」か、「実験等で実証された複合効果に基づく数値」を用いなければなりません。
  • ポイント:異なる性質の接合方法(金物と木組みなど)の耐力は、「単純に足し算(加算)してはならない」 という原則は、RC構造や鉄骨構造の異種接合でも共通する超頻出項目です。
    ボルト周辺の木材は「割裂(裂ける)」や「めり込み」が起きやすいため、縁空き(端からの距離)の確保が必須です。

3.各種接合具(釘・ビス・ボルト)の設計

【問題】木構造の接合部に使用される各種接合具の設計及び許容耐力に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 構造用合板などの面材を軸組に釘留めする場合、釘の許容耐力は、面材を軸組に対して平行に滑らせようとする力に抵抗する「せん断耐力(一面せん断耐力)」として算出される。
  2. 木材に打ち込まれた釘が引き抜かれる力に対する許容耐力(割付け耐力)は、一般に、木材の比重が大きく、かつ、釘の打ち込み深さが深いほど高くなる。
  3. 釘を木材の繊維方向の端面に平行に打ち込む「こぐち打ち(木口打ち)」とした場合、繊維を押し分ける形になり抜けやすくなるため、側面(せん断方向)に打つ場合に比べて引抜許容耐力は著しく低下する。
  4. 太いボルトを用いた接合部において、ボルトに生じる「曲げ変形」を抑え、木材への局所的なめり込み応力を均一に分散させるため、十分な厚みと面積を持つ「座金(ワッシャー)」を配置する。
  5. 構造用木ねじ(ビス)や釘の許容引抜耐力の計算において、施工時における木材の含水率が高く、その後の乾燥によって木材が収縮する場合であっても、許容耐力への悪影響はないため低減(補正)を行う必要はない。

【正解】 5

  • 解説:木材が濡れた状態(含水率が高い生木の状態)で釘やビスを打ち込み、その後乾燥に伴って木材が縮むと、釘の周りの木材に隙間や緩みが生じ、釘の引き抜き抵抗力が著しく低下してしまいます。そのため、構造設計においては、施工時の木材の乾燥状態(含水率)に応じて、許容耐力に低減係数を受けるなどの「補正(低減)」を行う必要があります。影響がないとする記述は不適当です。
  • ポイント:釘の強さは 「比重が大きい(硬い木)」「深く打ち込む」 ほど強くなります。
    「こぐち打ち(木口打ち)」 は繊維に沿って刺さるだけなので抜けやすく、引き抜きに対して非常に弱くなります。木材が乾燥して縮むと接合具が緩むため、構造設計において 「含水率に応じた耐力の補正・低減」 は必須の検討事項です。
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