木構造③<軸組工法>

出題箇所:例年、学科III(構造)の No.5 〜 No.8 付近

出題数:1〜2問程度

近年の出題傾向

  • 筋かいに生じる力(圧縮力・引張力)の特性に基づき、片側だけに傾いた筋かいが集中しないよう「タテ・ヨコの両方向」かつ「左右対称(バランスよく)」に配置する壁量バランスが重視されています。
  • 地震時に柱の上下端に生じる抜出し力に対して、柱頭・柱脚の金物選定(特にホールダウン金物が必要な箇所)を正確に行う実務的な問題がよく問われています。
  • 床面の剛性(水平構面)を高めるため、火打材や構造用合板を用いて建物全体のねじれを抑制する、立体的な力学挙動に関する内容が頻出しています。

模擬問題と解説

1.耐力壁(筋かい)の力学的性質と配置

【問題】木造軸組工法における耐力壁及び筋かいに関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 筋かいを設けた軸組に水平力が作用した場合、筋かいの傾斜方向によって「圧縮力」として抵抗する側と「引張力」として抵抗する側が生じるため、建物全体としてこれらが均等になるよう配置する。
  2. 厚さ15mm、幅90mmの木材の筋かい(片筋かい)を設置した軸組の壁倍率は、建築基準法施行令の規定に基づき、「1.0」として計算する。
  3. 地震力や風圧力による水平力に対して建物がねじれを起こさないよう、各階の耐力壁の配置にあたっては、平面的なバランスを考慮し、重心と剛心の偏心を小さくするように計画する。
  4. 筋かいの端部は、地震時に部材が抜け出すのを防止するため、柱と梁(又は桁・土台)の交点付近において、定められた規格の筋かいプレート等の金物を用いて緊結する。
  5. 筋かいを設けた耐力壁において、引張側の筋かい端部が接続された柱の柱頭及び柱脚には、大きな引き抜き力が作用するため、その設計用引張力に応じた補強金物(ホールダウン金物等)を設ける。

 【正解】2

  • 解説:木材の筋かいによる壁倍率の数値が誤っています。建築基準法施行令において、「厚さ15mm以上、幅90mm以上」の木材の筋かいは、壁倍率「1.0」ではなく【1.5】として計算します。ちなみに「壁倍率1.0」となるのは「厚さ30mm、幅90mm」の木材を引張筋かいとして使用する場合(ただし現在の令46条仕様規定からは外れています)や、引張にのみ効く「径9mm以上の鉄線」などの場合です。
  • ポイント:筋かいには押される力(圧縮)と引っ張られる力(引張)が働くため、「左右対称(方向を揃えない)」に配置するのが鉄則です。
    平面的なねじれを防ぐため、建物の「重心(重さの中心)」と「剛心(強さの中心)」のズレ(偏心)を小さくする設計を行いましょう。

2.水平構面(床・屋根・火打材)の構造設計

【問題】木造建築物における床組、屋根組及び水平構面の設計に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 地震力などの水平力が建物に作用した際、その力を各面の耐力壁へ確実に伝達させるため、床版や屋根面を強固に固めて「水平構面」としての剛性を確保する必要がある。
  2. 床組や小屋組の隅角部に設ける「火打材(火打梁・火打土台)」は、地震時や暴風時に生じる水平力による平面的な変形(平行四辺形に歪む変形)を防止するために有効である。
  3. 2階の床面に構造用合板を直接根太や梁に釘留めして「ネダレス工法(剛床工法)」とする場合、火打材を併用しなくても、水平力に対して十分な床面の剛性を確保することができる。
  4. 小屋組の構成において、屋根に作用する風圧力などの水平力に抵抗し、屋根面全体のねじれやたわみを防ぐため、垂木と直交する方向に「小屋裏物置用の床」や「雲筋かい(振れ止め)」を適切に配置する。
  5. 土台を基礎に緊結するためのアンカーボルトは、地震時や暴風時に土台が浮き上がるのを防ぐため、原則として、建物の隅角部(コーナー)や柱の直近を避け、平らな直線のスパン中央付近にのみ集中して配置する。

【正解】5

  • 解説:土台をコンクリート基礎に緊結するアンカーボルトは、地震の際に最も激しい引き抜き力(上向きの力)や揺れがかかる「建物の隅角部(コーナー)」や「耐力壁の両端の柱の直近(おおむね200mm以内)」に、必ず優先して配置しなければなりません。これらを避けて直線中央だけに集中させるという記述は完全に逆であり、不適当です。
  • ポイント:柱や土台の引き抜きに抵抗するアンカーボルトは、「建物の四隅(コーナー)」や「柱の直近」への配置が最優先です。
    床面の変形を防ぐ手法として、伝統的な「火打材」による補強や、現代的な合板を敷き詰める「剛床(ネダレス)工法」が有効です。

3.柱の座屈と構造制限

【問題】木造軸組工法における柱の構造制限及び力学的挙動に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱に上部からの圧縮荷重(軸方向力)が作用する場合、柱の長さが長くなるほど、横方向に弓なりに折れ曲がる「座屈(ざくつ)」を起こしやすくなる。
  2. 建築基準法において、主要構造部である柱の小径(太さ)は、原則として、その柱に作用する長期の圧縮荷重を支えるため、横架材(梁や桁)の相互間の垂直距離に一定の割合を乗じた値以上としなければならない。
  3. 2階建ての木造建築物において、1階から2階まで通した1本の部材で構成される「通し柱」は、建物の隅角部(出隅)などに設けることで、建物の上下階の一体性を高める効果がある。
  4. 柱の座屈に対する安全性を検討するにあたり、壁の中に隠れており両側から胴縁や下地材で拘束されている柱は、周囲に壁のない独立した柱(独立柱)に比べて、座屈を起こしやすい。
  5. 通し柱は、梁や桁が2方向あるいは3方向から交差して取り付くため、仕口の加工による断面欠損が大きくなりやすいことから、必要に応じてボルトや補強金物による補強、あるいは断面を大きくするなどの配慮が必要である。

【正解】 4

  • 解説:柱の「座屈(折れ曲がり)」は、柱が自由に動ける(拘束されていない)長さが長いほど発生しやすくなります。周囲に壁がなく、ポツンと立っている「独立柱」は、どこにも支えがないため座屈に対して非常に不利です。逆に、壁の中に埋め込まれて合板やボード、胴縁などで固められている壁付きの柱は、周囲から動きをホールド(拘束)されているため、独立柱に比べて「座屈を起こしにくい(強い)」状態になります。記述は逆になっているため不適当です。
  • ポイント:柱の 「座屈」は、部材が長いほど、また周囲の拘束(壁など)がないほど発生しやすくなります
    「通し柱」は上下階を強固に繋ぐメリットがある反面、色々な方向から梁が刺さるため「断面欠損」が非常に大きくなりやすいというデメリット(注意点)を覚えておきましょう。
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