出題箇所: 例年、学科III(構造)の No.9 〜 No.11 付近
出題数:2問程度(材料特性と構造設計で分かれることが多い)
・コンクリートは「圧縮」に強く、鉄筋は「引張」に強いという相互補完の関係を理解し、両者の熱膨張率がほぼ等しいことで一体性を保っている点に注目しましょう。
・アルカリ性のコンクリートが鉄筋の錆を防いでいるため、中性化(二酸化炭素による劣化)が進むと耐久性が著しく低下するメカニズムを意識する必要があります。
近年の出題傾向
- コンクリートの強さを左右する「水セメント比(W/C)」は、数値が小さいほど(水が少ないほど)強度が上がり、乾燥収縮や中性化を抑制できるという基本原則が超頻出です。
- 施工時の柔らかさを示す「スランプ」値が大きいほど流動性は高まりますが、過剰な水分は材料分離や強度低下を招くため、適切な品質管理値が問われています。
- コンクリートの「ヤング係数(変形のしにくさ)」は、圧縮強度が高くなるほど大きくなり、重いコンクリートほど大きくなるという相関関係が重視されています。
模擬問題と解説
1. コンクリートの材料的性質
【問題】鉄筋コンクリート構造に使用されるコンクリートの性質に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コンクリートの圧縮強度が高くなるほど、一般に、ヤング係数(弾性係数)の値は大きくなる。
- 水セメント比(W/C)を小さくすると、コンクリートの強度は向上し、中性化に対する抵抗性(耐久性)も高くなる。
- コンクリートの引張強度は、一般に、圧縮強度の1/10〜1/13程度と非常に小さいため、構造計算においてコンクリートの引張耐力は無視するのが原則である。
- コンクリートの熱膨張係数は、鉄筋の熱膨張係数に比べて著しく大きいため、温度変化によって鉄筋とコンクリートの間に大きな付着応力が発生する。
- 「スランプ」とは、凝固前のコンクリート(フレッシュコンクリート)の流動性を示す指標であり、スランプの値が大きいほど、コンクリートは柔らかく流動性が高い。
【正解】4
- 解説:コンクリートと鉄筋の熱膨張係数(温度による伸び縮みの割合)は、「ほぼ等しい(約1.0×10⁻⁵/℃)」のが大きな特徴です。もしこの値が大きく異なると、気温の変化で内部からバラバラになってしまいます。数値がほぼ同じだからこそ、RC構造は一体として成立しています。「著しく大きい」とする記述は不適当です。
- ポイント:コンクリートと鉄筋は 「熱膨張係数がほぼ同じ」。
水セメント比が 「小さい(水が少ない)」 ほど、「高強度・高耐久」 になります。
2. 強度の推定と調合設計
【問題】コンクリートの調合及び強度に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コンクリートの設計基準強度は、標準養生を行った試験体(供試体)を材齢28日で圧縮試験して得られる強度を基準とする。
- 単位水量を過度に大きくすると、乾燥収縮によるひび割れが発生しやすくなり、コンクリートの品質が低下する。
- コンクリートに含まれる空気量が多くなると、コンクリートの強度は一般に低下する。
- 普通コンクリートの強度は、セメントの種類が同じであれば、一般に、セメントに対する水の重量比(水セメント比)によって決定される。
- コンクリートのヤング係数は、設計基準強度が同じであれば、軽量骨材を使用した軽量コンクリートの方が、普通コンクリートよりも大きくなる。
【正解】5
- 解説:コンクリートのヤング係数(変形しにくさ)は、「圧縮強度」が高く、かつ「単位容積重量(重さ)」が重いほど大きくなります。設計基準強度が同じであれば、密度の小さい「軽量コンクリート」の方が「普通コンクリート」よりもヤング係数は小さく(変形しやすく)なります。記述は逆であるため不適当です。
- ポイント:ヤング係数は 「強度が強いほど」「重いほど」大きくなる(変形しにくくなる)。
強度の基準は 「材齢28日」 の供試体で判断します。
3. コンクリートの劣化事象と長期的変形
【問題】鉄筋コンクリート構造の耐久性及び長期的変形に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コンクリートの「クリープ」による変形は、一般に、湿潤状態に比べて乾燥状態で保管された場合の方が大きくなる。
- コンクリートに持続的な圧縮荷重が作用し続けると、荷重が増えなくても時間の経過とともに歪み(変形)が増大する現象を「クリープ」という。
- コンクリートの「中性化」とは、空気中の二酸化炭素が浸入することでアルカリ性が失われる現象であり、中性化が鉄筋の位置まで達すると鉄筋が腐食しやすくなる。
- 「アルカリ骨材反応」を抑制するための対策として、高炉セメントやフライアッシュセメントなどの混合セメントを使用することは一般に有効である。
- コンクリートの乾燥収縮によるひび割れを抑制するためには、単位水量をできるだけ大きくし、コンクリート内の水分を豊富に保つことが有効である。
【正解】 5
- 解説:コンクリートの「乾燥収縮」は、コンクリート内の余剰な水分が蒸発することによって起こります。そのため、「単位水量(1立方メートルあたりの水の量)」を大きく(多く)すると、蒸発する水分が増えるため、乾燥収縮によるひび割れはむしろ発生しやすくなります。ひび割れを抑制するには、単位水量をできるだけ小さく抑えるのが正解です。
- ポイント:
クリープ:「乾燥しているほど」「若い時に荷重をかけるほど」大きくなります。
中性化・塩害:どちらも最終的に「中の鉄筋を錆びさせる」のが問題です。
アルカリ骨材反応:特定の石(反応性骨材)とアルカリが反応して中から膨らんで割れる現象です。
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