出題箇所:例年、学科III(構造)の No.9 〜 No.11 付近
出題数:1〜2問程度(コンクリートの性質と組み合わせて、または独立して出題される)
・鉄筋とコンクリートは「付着(お互いにがっちり掴み合う力)」によって一体化しているため、鉄筋の表面積や定着長さ(コンクリートに埋め込む長さ)が耐力を大きく左右することを知っておきましょう。
・鉄筋の錆び(腐食)を防ぎ、かつ火災時の熱から守るために、鉄筋の表面からコンクリート外側までの最短距離である「かぶり厚さ」の法的な数値規定を頭に入れておく必要があります。
近年の出題傾向
- 梁や柱の引張鉄筋がコンクリートから抜けないようにするための「定着長さ」において、鉄筋の末端に「フック(折り曲げ)」を設ける場合は、フックがない場合に比べて定着長さを短くできる実務規定が頻出しています。
- 主筋(柱の縦鉄筋、梁の横鉄筋)の周囲を囲む「帯筋(フープ)」や「あばら筋(スターラップ)」は、地震時の斜め方向の力(せん断力)に抵抗するとともに、主筋の「座屈(外側に折れ曲がる現象)」を防ぐ役割がある点が重視されています。
模擬問題と解説
1. 鉄筋の付着と定着の設計
【問題】鉄筋コンクリート構造における鉄筋の付着及び定着に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 異形鉄筋は、表面にリブや節の突起があるため、表面が滑らかな丸鋼(円形鉄筋)に比べて、コンクリートとの付着強度が著しく高い。
- 鉄筋のコンクリートに対する付着強度は、コンクリートの設計基準強度が高くなるほど大きくなる。
- 引張鉄筋の定着長さは、一般に、鉄筋の末端に適切なフック(折り曲げ)を設ける場合、フックを設けない直線定着とする場合に比べて、短くすることができる。
- 柱の帯筋(フープ)や梁のあばら筋(スターラップ)などのせん断補強筋の末端には、地震時の抜け出しを防止するため、原則としてフックを設けなければならない。
- 梁の主筋の定着長さの算定において、コンクリートに埋め込まれる鉄筋の「全断面積」が大きくなるほど、周囲のコンクリートとの付着面が広くなるため、必要な定着長さは短くなる。
【正解】5
- 解説:鉄筋がコンクリートから抜けないように突っ張る力(付着力)は、鉄筋の「表面積」に比例します。同じ総断面積であっても、鉄筋が「太く」なると、断面積の増加に対して表面積(外周の長さ)の割合が相対的に小さくなるため、引き抜けやすくなります。したがって、鉄筋が太くなるほど(径が大きくなるほど)、より深くコンクリートに埋め込む必要があるため、必要な定着長さは「長く」しなければなりません。短くなるとする記述は不適当です。
- ポイント:鉄筋が 「太い」ほど、より深い埋め込み(長い定着長さ)が必要 になります。
末端の 「フック(折り曲げ)」は、抜け止めのアンカー効果になるため、定着長さを「短縮」できる メリットがあります。
2. 柱・梁のせん断補強筋の役割と配置
【問題】鉄筋コンクリート構造の部材における各種鉄筋の配置及びその役割に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 梁の「あばら筋(スターラップ)」は、主に梁に作用するせん断力に抵抗するためのものであるが、主筋の配置位置を固定し、主筋が外側へはらみ出す座屈を防止する効果もある。
- 柱の「帯筋(フープ)」の間隔は、地震時の急激な反転荷重によるコンクリートの脆性的なせん断破壊を防止するため、一般に、柱の中央部(中間帯)に比べて、柱頭や柱脚(端部)のほうを密に配置する。
- 柱の軸方向力(圧縮力)を負担する主筋の「座屈」を防止するためには、主筋を囲む帯筋の間隔を細かくし、主筋が横方向に折れ曲がろうとするのを外側からしっかりと拘束することが有効である。
- 梁のコンクリートがひび割れた後に、引張力を鉄筋がスムーズに負担できるようにするため、梁の引張側に配置する主筋の断面積は、コンクリート断面に対して一定の割合(最小鉄筋比)以上確保しなければならない。
- 柱の帯筋比(柱の断面積に対する帯筋の割合)を高めると、柱の上部からかかる圧縮荷重に対する「最大圧縮耐力」そのものが著しく向上するため、太い主筋を減らすことができる。
【正解】5
- 解説:柱の帯筋(フープ)の主な役割は、「せん断力への抵抗」「主筋の座屈防止」「内部コンクリートの拘束(粘り強さを出す)」です。帯筋をどれだけたくさん巻いても、上からの重さを直接支えているのは「主筋」と「コンクリート」であるため、柱の「最大圧縮耐力(上からの重さに耐える力)」そのものを大きく向上させる効果はありません(主筋を減らすことはできません)。高めるのは耐力ではなく、地震で変形しても急にポッキリ折れないための「靭性(粘り強さ)」です。
- ポイント:帯筋・あばら筋は、横からの力(せん断力)に抵抗し、主筋の「座屈(はらみ出し)」を防ぎます。
地震の力が集中する 「柱の両端(柱頭・柱脚)」や「梁の両端」は、補強筋の間隔を「密」に細かく配置する のが鉄則です。
3. 耐久性を確保するかぶり厚さ
【問題】鉄筋コンクリート構造の耐久性及び「かぶり厚さ」に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 「かぶり厚さ」とは、鉄筋の表面から、これに最も近いコンクリートの外面までの最短距離のことであり、主筋ではなく、外側を囲む帯筋やあばら筋の表面を基準として測定する。
- コンクリートの中性化による鉄筋の腐食を防止するため、建築基準法施行令において、耐力壁、柱、梁、床スラブ、基礎などの部材ごとに、確保すべき最小かぶり厚さがそれぞれ規定されている。
- 屋外の雨風に直接さらされる壁や柱のかぶり厚さは、室内の仕上げ材(プラスチックボード等)に隠れる内壁や柱に比べて、中性化や水分の浸入が早いため、法的な最小かぶり厚さが大きく(厚く)設定されている。
- 基礎の立ち上がり部分(土に接する部分)のかぶり厚さは、土壌中の水分や酸・アルカリによる鉄筋の腐食リスクが高いため、一般の地上階の柱や梁よりも薄くしてよい。
- 設計時において、コンクリートの施工誤差(型枠の歪みや鉄筋のズレ)を考慮し、建築基準法施行令に定められた「最小かぶり厚さ」に、10mm程度の数値を加算した「設計かぶり厚さ」を採用するのが一般的である。
【正解】 4
- 解説:土に接する部分は、常に湿気や土壌中の水分、塩分などにさらされるため、鉄筋が最も錆びやすい過酷な環境です。そのため、「土に接する部分(基礎など)」のかぶり厚さは、地上階の柱や梁よりも「厚く(原則40mm〜60mm以上)」しなければなりません。「薄くしてよい」とする記述は完全に誤りであり、不適当です。
- ポイント:かぶり厚さは、一番外側にある鉄筋(帯筋やあばら筋)の表面から測ります。
錆びのリスクが高い 「屋外に面する部分」や「土に接する部分(基礎)」ほど、かぶり厚さを「厚く」確保する 必要があります。
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