RC構造③<梁>

出題箇所:例年、学科III(構造)の No.9 〜 No.11 付近

出題数:1問程度(柱の設計規定と組み合わせて出題されることが多い)

近年の出題傾向

  • 梁の曲げ耐力を高めるために引張鉄筋を多くしすぎると、コンクリートが先に急激な破壊(圧縮側での脆性破壊)を起こす危険があるため、鉄筋量には上限(最大鉄筋比)の制限がある点がよく問われています。
  • 長期荷重によって梁が徐々にたわんでいく「クリープ変形」を抑制するためには、あらかじめ上部の圧縮鉄筋の量を増やして、コンクリートの負担を減らす実務的な設計ルールが定番化しています。
  • スラブ(床コンクリート)と一体に作られた梁(T形梁)は、スラブの一部も梁の圧縮力を負担する「協力幅」として計算できるため、通常の長方形の梁よりも曲げに対して有利になる特性が重視されています。

模擬問題と解説

1. 梁の曲げ挙動と鉄筋比の制限

【問題】鉄筋コンクリート構造における梁の曲げに対する力学的挙動及び設計に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 梁に曲げモーメントが作用するにあたり、コンクリートの引張強度は無視し、引張力はすべて引張鉄筋が負担するものとして断面の計算を行った。
  2. 梁の引張鉄筋比(コンクリート断面に対する引張鉄筋の割合)を過度に大きくすると、地震時等に鉄筋が降伏する前にコンクリートが先に圧縮破壊する「脆(ぜい)性的な破壊」を起こす危険性がある。
  3. 梁のコンクリートにひび割れが発生した直後、急激に部材が破断するのを防止するため、引張鉄筋比については、構造計算において規定された最小鉄筋比以上の数値を確保した。
  4. 梁の上部と下部の両方に主筋を配置した「複筋梁」は、下部のみに主筋を配置した「単筋梁」に比べて、長期荷重による梁のたわみ(クリープ変形)を増大させる効果がある。
  5. スラブと一体に配置された梁(T形梁)の曲げ耐力を計算する場合、スラブの一部の幅を梁の有効フランジ幅(協力幅)として算入し、梁全体の剛性や耐力を高く評価することができる。

 【正解】4

  • 解説:梁の上下両方に鉄筋を入れる「複筋梁」において、上部の圧縮鉄筋には、コンクリートが時間の経過とともに縮んでいく「クリープ変形(長期のたわみ)」を【抑制(減少)】させる重要な効果があります。鉄筋はコンクリートと違って時間を経ても縮まない(クリープしない)ため、上部に鉄筋が入っていると、コンクリートの身代わりになって上からの重さを支えてくれるからです。記述の「増大させる」は完全に逆であり、不適当です。
  • ポイント:圧縮側の鉄筋を増やすと、将来の 「クリープたわみ(長期変形)」を減らす ことができます。
    鉄筋を入れすぎると、粘り強さがなくなり 「急激にバキッと壊れる(脆性破壊)」 ため、鉄筋量には上限と下限のルールがあります。

2. せん断補強とあばら筋(スターラップ)

【問題】鉄筋コンクリート構造の梁におけるせん断力への抵抗及びあばら筋に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 梁に作用するせん断力に対しては、コンクリート自体の許容せん断耐力と、あばら筋(スターラップ)の耐力を合わせたもので抵抗させる設計とした。
  2. 地震時に梁に生じるせん断力は、一般に梁の中央部よりも柱との接合部に近接する端部のほうが大きくなるため、端部のあばら筋の間隔を中央部よりも密に配置した。
  3. あばら筋(スターラップ)の間隔については、コンクリートの斜めひび割れを確実に拘束するため、梁の有効高さの1/2以下、かつ250mm以下とする構造制限に従った。
  4. 梁のあばら筋比(梁の断面積に対するあばら筋の割合)を規定以上に高める計画は、梁が曲げ降伏した後の「変形能力(粘り強さ)」を向上させる効果がある。
  5. 梁に作用する設計せん断力がコンクリート自体の持つ許容せん断耐力を下回っていることを確認したため、構造設計においてあばら筋の配置を省略した。

【正解】5

  • 解説:コンクリートがどれだけ頑丈で、計算上せん断力に対して安全であったとしても、梁には「最低限入れなければならないあばら筋の量(最小あばら筋比 = 0.2%以上)」が法律で決まっています。コンクリートは引張やせん断に弱く、目に見えない微細なひび割れから急激に破壊する恐れがあるため、あばら筋を「まったく配置しなくてよい」ということは絶対にありません。
  • ポイント:地震の負担が大きい 「梁の端部(柱の近く)」は、あばら筋の間隔を「密」に配置 します。
    あばら筋の間隔は、法律で 「梁の高さの半分(1/2)以下」かつ「250mm以下」 と細かく指定されています。

3. 梁の断面形状と構造制限

【問題】鉄筋コンクリート構造の梁の寸法、断面形状及び構造制限に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 梁の全高(梁深さ)に対する「有効長さ(スパン)」の比が大きくなるほど、横方向に弓なりにねじれて変形する「横座屈(よこざくつ)」を起こしやすくなる。
  2. 梁の断面寸法(幅や高さ)を大きくすることは梁の曲げ剛性を高めるために有効であり、特に梁の「高さ」を2倍にした場合、曲げに対する変形しにくさ(断面二次モーメント)は8倍になる。
  3. 大梁に設備用の配管を貫通させるための開口部(穴)を設けるにあたり、開口の直径を梁の全高の1/3以下とし、かつ、開口の周囲を専用の補強鉄筋で適切に補強した。
  4. 梁の主筋をコンクリート内で繋ぐ「継手」を設けるにあたり、引張力が大きく作用する「梁の端部(上部)」や「梁の中央部(下部)」を避け、応力の小さくなる位置に分散させて配置した。
  5. 梁の主筋(異形鉄筋)を長手方向に配置するにあたり、コンクリートの回り込みを確実にするため、鉄筋同士の相互の「あき(間隔)」を一律に15mmとして計画した。

【正解】 5

  • 解説:鉄筋同士の「あき(隙間)」が狭すぎると、コンクリートの中に入っている砂利(粗骨材)が引っかかってしまい、鉄筋の裏側にコンクリートが綺麗に回り込まなくなってしまいます。そのため、主筋の最小あき寸法は一律ではなく、「粗骨材の最大寸法の1.25倍以上」「鉄筋の呼び名の径の1.5倍以上」、「25mm以上」という3つの条件のうち、【最も大きい数値】以上を確保しなければなりません。本肢のように「一律に15mmとする計画」は不適当です。
  • ポイント:鉄筋の隙間(あき)は、コンクリートの砂利が通れるように 「粗骨材の最大寸法」や「鉄筋の太さ」に応じて広く確保する 必要があります。
    梁に配管の穴を開ける場合、サイズは 「梁の高さの1/3以下」 に抑え、周囲の補強を行うのが原則です。
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