RC構造④<柱>

出題箇所:例年、学科III(構造)の No.9 〜 No.11 付近

出題数:1問程度(梁や壁の設計規定と組み合わせて出題されることが多い)

近年の出題傾向

  • 柱の帯筋の間隔について、地震の曲げ・せん断力が集中する「柱頭(上端)」や「柱脚(下端)」を、中央部に比べてより細かく(密に)配置する実務的な配筋ルールが頻出しています。
  • 柱の全断面積に対する主筋の合計断面積の割合(主筋比)は、コンクリートのクリープ(持続荷重による変形)に伴う主筋の過度な負担軽減や耐力確保のため、一律「0.8%以上」としなければならない規定がよく問われています。

模擬問題と解説

1. 柱の主筋量と構造制限

【問題】鉄筋コンクリート構造における柱の主筋(軸方向鉄筋)に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱の主筋の総断面積の柱断面積に対する割合(主筋比)については、長期荷重によるコンクリートのクリープ変形に伴う主筋の応力増大や、必要な靭性を確保するため、0.8%以上とした。
  2. 地震力による引張力が作用する恐れのない柱であったため、構造計算を行わずに主筋の最小本数を4本として計画した。
  3. 柱の主筋をコンクリート内で繋ぐ「圧接継手」を設けるにあたり、各主筋の継手の位置が同一の高さに集中するのを避けるため、継手位置を軸方向に相互にずらして配置した。
  4. 柱に作用する長期の圧縮荷重を安全に支持するため、主要構造部である柱の小径(太さ)を、その柱を支持する横架材間の垂直距離の1/15とした。
  5. 柱の主筋(異形鉄筋)のコンクリートに対する付着強度を高めるため、コンクリートの設計基準強度を当初の計画よりも高い数値に変更した。

 【正解】2

  • 解説:建築基準法施行令および構造規定において、構造計算を行わない場合の柱の主筋の最小本数は、四角形(矩形)の柱の場合は【4本以上】、円形の柱の場合は【6本以上】と定められています。本肢は「構造計算を行わずに」とあり、柱の形状(矩形か円形か)が特定されていないにもかかわらず、一律で「4本として計画した」としている点が不適当です(仮に円形柱であれば6本以上必要なため法律違反になります)。
  • ポイント:柱の主筋の最低ライン(主筋比)は 「0.8%以上」 です。
    主筋の最低本数は 「四角い柱は4本、丸い柱は6本」 と覚えておきましょう。

2. 帯筋(フープ)の役割と配置制限

【問題】鉄筋コンクリート構造の柱における帯筋(フープ)に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱の帯筋は、主に地震時に作用するせん断力に抵抗するとともに、内部のコンクリートを拘束して柱の粘り強さ(変形能力)を高める効果がある。
  2. 柱に大きな圧縮力が作用した際、縦方向の主筋が外側へ弓なりにはらみ出す「座屈」を防止するため、帯筋を主筋の周囲に適切に巻き付けた。
  3. 地震による強いせん断力が集中しやすい柱頭および柱脚の端部領域については、中央部に比べて帯筋の間隔を狭くし、密に配置する計画とした。
  4. 帯筋の間隔に関する構造制限を検討するにあたり、柱の中央部(中間帯)における帯筋の間隔を、350mmとし、かつ、主筋の最小径の15倍以下であることを確認した。
  5. 帯筋の末端に設けるフックの折り曲げ角度について、地震時のコンクリートのひび割れによる抜け出しを防止するため、135度以上の鋭角に折り曲げて定着させた。

【正解】5

  • 解説:建築基準法施行令第77条において、柱の中央部における帯筋の間隔は「150mm(割裂のおそれがない等、一定の措置がある場合は300mm)以下」と定められています。したがって、「350mm」とする計画は法令の制限(最大でも300mm、原則150mm)を大きく超えてしまうため、一発で「不適当(間違い)」と判断できます。
  • ポイント:法令上の帯筋間隔のルールは 「150mm以下」かつ「主筋の太さの15倍以下」 です。本試験では、この「150mm」を「300mm超」などの過大な数値にすり替えて引っかけるパターンが頻出しています。

3. 柱の力学的挙動と破壊

【問題】鉄筋コンクリート構造の柱に作用する力と破壊の挙動に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱の「帯筋比(柱断面積に対する帯筋の割合)」を高める計画は、地震時に柱が受けるせん断力による脆性的な破壊(せん断破壊)を防止する上で有効である。
  2. 柱の全高(長さ)に対する断面の小径(太さ)の比が大きくなる「細長い柱」は、上部からの長期圧縮荷重によって、部材全体が横方向に折れ曲がる「座屈」を起こしやすくなる。
  3. 建物に水平力が作用した際、柱が「曲げ降伏(鉄筋が伸びて粘る)」するよりも前に「せん断破壊(斜めにバキッと割れる)」を起こすほうが、建物全体の地震に対する安全性を高く確保できる。
  4. 柱に作用する軸方向の圧縮荷重が大きくなるほど、コンクリート内部のめり込みや拘束効果により、柱が負担できる許容せん断力(コンクリート負担分)の値は大きくなる。
  5. 独立した柱の周囲に「袖壁(そでかべ)」や「腰壁(こしかべ)」が一体に施工されている場合、柱の自由に動ける長さ(極短柱化)が短くなるため、地震時にせん断力が集中しやすく破壊の危険性が高まる。

【正解】 3

  • 解説:建物の地震に対する安全性(安全限界)を高めるためには、「せん断破壊」よりも前に「曲げ降伏」をさせる【構造スリット等の配置や、せん断補強】を行うのが鉄則です。せん断破壊は前触れなく一瞬で急激にポッキリ折れる(脆性破壊)ため非常に危険ですが、曲げ降伏は鉄筋がググッと粘り強く伸びて建物の変形に耐えてくれる(靭性破壊)からです。記述は逆になっているため不適当です。
  • ポイント:構造設計では、一瞬で崩壊する 「せん断破壊」を絶対に避け、粘り強く耐える「曲げ降伏」先行の形にする 必要がります。
    窓の上下にある 「腰壁・垂れ壁」が柱にくっついていると、柱が実質的に短くなり(極短柱)、地震の力が集中して真っ先にせん断破壊する ため、設計上の大きな弱点になります。
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