出題箇所: 例年、学科I(建築計画)の No.1 〜 No.5 付近(環境工学・気候の導入部分)
出題数: 1〜2問程度
・各方位(東・西・南・北)における日射量の季節変化(夏季と冬季の違い)を理解し、開口部や庇(ひさし)の計画に活かすなどがポイントです。
・卓越風(その土地に多く吹く風)の向きを考慮した通風計画や、窓の配置(対面配置、高低差利用)による換気効率の向上が重要となります。
- 西面・東面における日射遮蔽(可動ルーバーや落葉樹の利用)の効果や、南面への開口部集約による冬季の暖房負荷軽減が頻出している。
- 建築物の「配置計画」において、隣り合う建物による日影(ひかげ)の影響を最小限に抑えるための離隔距離の確保が重視されている。
- 風の「圧力差(風圧)」を利用した通風だけでなく、室内外の「温度差(浮力)」を利用した高低差のある通風(重力換気)の仕組みが狙われやすい。
第1問:日射・日照と方位計画
【問題】
建築物の方位および日射制御に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築物の南面においては、夏季の太陽高度が高いため水平の庇(ひさし)による日射遮蔽が有効であり、冬季には太陽高度が低くなるため室内の奥まで日射を取り入れることができる。
- 東西に長い形状の建物は、南面からの日射を多く取り入れ、かつ、日射制御の難しい東西面からの日射を減らすことができるため、一般に省エネルギーに有利である。
- 西面における夏季の強い日射を遮るためには、南面と同様の「出の深い水平の庇」を設けることが、最も効果的な遮蔽手法である。
- 敷地の北側に庭や遮るもののない空間を設ける計画は、直射日光は期待できないものの、天空光による安定した明るさを室内に取り入れるのに有効である。
- 落葉広葉樹を建物の南側に植栽する計画は、夏季には茂った葉によって日射を遮り、冬季には落葉によって日射を室内に通すため、パッシブデザインとして有効である。
【正解】 3
- 解説: 西面(および東面)の夏季の日射は、太陽高度が低い位置から横方向に入射してきます。そのため、南面で有効な「水平の庇」では日射を十分に遮ることができません。西面には「垂直ルーバー(縦よろい)」や「外付けのブラインド(すだれ)」などを設けるのが適切です。
- ポイント: 方位ごとの太陽高度の違い(南=高い、東・西=低い)と、それに応じた日射遮蔽手法(南=水平庇、東西=垂直ルーバー)の組み合わせは超頻出事項です。
第2問:通風・採風計画
【問題】
住宅の通風・換気計画に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 室内の通風効果を高めるためには、風上側と風下側の両方に開口部(窓)を設け、室内に風の通り道を確保することが望ましい。
- 部屋の一面にしか窓を設けられない場合でも、その窓の横に「袖壁(そでかべ)」を突出させることで、壁に当たった風を室内に導き入れる(ウインドキャッチャー効果)ことができる。
- 室内外の「温度差」を利用した自然換気(重力換気)を行う場合、給気口(下部)と排気口(上部)の垂直距離(高低差)を小さくするほど、換気量は大きくなる。
- 地域の「卓越風」の方向を調査し、その風向に対して開口部を直角に近い角度で配置することは、室内の通風量を最大にするのに有効である。
- 吹き抜けを設けた住宅において、上部に高窓(トップライトや高所開口)を配置することは、夏季に室内の熱気を効率的に外部へ排出するのに有効である。
【正解】 3
- 解説: 温度差を利用した換気(重力換気)の換気量は、給気口と排気口の「垂直距離(高低差)の平方根に比例」します。したがって、高低差を「大きくするほど」換気量は大きくなります。小さくするという記述は誤りです。
- ポイント: 通風は「風圧(卓越風の利用、対面開口、袖壁)」によるものと、「温度差(浮力、高低差の確保)」によるものの2種類の特徴を整理しておく必要があります。
第3問:敷地利用と配置計画
【問題】
敷地の環境条件に応じた建築物の配置計画に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 隣接する南側の建物からの日影の影響を減らし、冬季の日照を十分に確保するため、南側の建物との間に適切な離隔距離(引きがね)を確保して建物を北側に寄せて配置した。
- 冬季の寒冷な季節風(北西風)が強い地域において、敷地の北西側に防風林やへいを設置することは、建物周辺の微気候を改善し、室内の熱損失を抑えるのに有効である。
- 集合住宅の配置計画において、複数の住戸棟を平行に並べる「並行配置」とする場合、後方の棟の日照を確保するために必要な棟間隔は、一般に前面の棟の高さの2倍程度が目安とされる。
- 周囲を建物に囲まれた狭小な敷地において、1階の居室の日照を確保するため、建物をできるだけ南側に寄せて配置し、北側に広い空地(庭)を設けた。
- 傾斜地に建物を計画する場合、南垂れ(南下がりの傾斜地)の敷地は日当りや眺望の面で有利であり、北垂れの敷地は日影の影響を受けやすいため配置や断面計画に工夫が必要である。
【正解】 4
- 解説:周囲を建物に囲まれた敷地で「1階の居室の日照」を確保したい場合、建物をできるだけ「北側」に寄せ、南側に空地(庭やスペース)を広く設ける必要があります。南側に寄せてしまうと、南側にある隣家の影に自邸の1階が完全に隠れてしまうため不適当です。
- ポイント: 敷地内での建物の寄せ方(日照が欲しければ北に寄せて南をあける)や、傾斜地の方位特性(南垂れ・北垂れ)といった、実務的な空間把握能力が問われます。
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